CRM/Salesforce

カスタマーサクセス
~サブスクリプション時代の顧客支援の在り方~

2021.3.30

「カスタマーサクセス」という言葉が近年注目を集めている。B2B領域におけるサブスクリプションサービスに付随する顧客支援の在り方だ。顧客に長く使い続けてもらうため、“攻め”の支援がサービス提供企業には求められている。

1.サブスクリプションがもたらした変化

近年、音楽やファッションなどあらゆるものが、所有型から利用型へと遷移してきています。ユーザは利用料という形でお金を払い、サービスを受けることができる時代になってきました。システムインテグレーションの世界でもそれは例外ではありません。クラウドサービスの普及とともに、顧客はサービスを利用することが出来るようになりました。

SalesforceやServiceNow、Sansan、Dropboxなど、SaaSベンダは多岐にわたります。
このビジネスモデルの変化に寄る顧客側のメリットは多くあります。初期投資が少なく済み、段階的な拡張がしやすくなりました。そして、すぐにやめることができます。投資をしているわけではないので、効果が出ない場合には、解約するだけですぐにシステムを捨てることが出来るのです。

こうした変化に合わせて、サービスを提供するSaaSベンダや、インテグレーターの在り方も変化が求められるようになってきました。顧客がサービスを使うことにより、自分たちの課題を解決し、成功に近づいている実感を持ってもらえるようにガイドしなければなりません。ここのガイドが上手くいかないと、顧客はサービスを利用するメリットを感じられず、解約に繋がってしまうからです。
このように、サービス提供企業が“顧客に長く使い続けてもらうため”に行う顧客支援の形態が、「カスタマーサクセス」なのです。

2.カスタマーサクセス vs カスタマーサポート

従来の顧客支援の形態をここでは「カスタマーサポート」と呼ぶことにいたします。カスタマーサポートの中では、サービス提供企業は保守窓口やヘルプデスクを設置し、顧客からの問合せについて対応をします。基本的に受動的な姿勢が多い“守り”の顧客支援となり、サービス提供企業側のKPIは応対件数や顧客満足度などが指標となる場合が多いです。

それに対して「カスタマーサクセス」は“攻め”の顧客支援です。サービス提供企業側から能動的な顧客支援が基本姿勢となります。たとえば、データに基づく助言を行ったり、その顧客に類似する他社企業での取り組みを紹介したり、ベストプラクティスやフレームワークの情報提供を行ったりします。これらの行動により、顧客が描く成功へのイメージへとガイドしていくのです。ここでサービス提供企業側のKPIとなってくるのは、サービスとしての売上向上や解約率削減、クロスセル・アップセル率の向上などです。

図1:カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

顧客がサービスを利用することによって、課題を解決し、成功に近づくことを実感してもらうことが非常に重要なポイントになってきます。その結果として、顧客はサービスを利用し続けるのです。
これまでのように、売って終わりではなく、売ったところから顧客との関係性が始まるサブスクリプション時代において、カスタマーサクセス人材の育成が求められているのです。

3.カスタマーサクセス人材に求められるマインドとケイパビリティ

では、顧客に対してカスタマーサクセスを提供するメンバにはどういったスキルセットが求められるのでしょうか。先に申し上げた通り、カスタマーサクセスは“攻め”の顧客支援です。
マインドについては、顧客のビジネスゴールを正しく理解するための「営業力」に加え、そのゴールに対して顧客を導く「コンサルティング能力」が求められます。
従来のカスタマーサポート部門では、顧客が直面している問題をヒアリングし、問題に対する解決策を素早く、丁寧に、提供することが求められていました。
カスタマーサクセスではそれらに加えて、更に上流の顧客が成し遂げたいビジネスゴールを意識し、そのゴールに向かったガイドをする必要があります。傾聴力だけでは顧客のビジネスゴールをとらえることはできません。顧客の言葉の裏にある真の課題は何なのか、将来的に成し遂げたいビジネスゴールな何なのか、を正しくとらえる「営業力」が必要です。次に、聞き出したゴールに対して顧客ガイドする「コンサルティング能力」が求められます。顧客の現状を分析し、ゴールまでの筋道を立て、顧客をその気にさせ、一緒に伴走する姿勢が求められているのです。
ケイパビリティについては、大きく3つの専門知識が必要とされます。一つ目が製品/サービスについての専門知識、二つ目が業務領域に関する専門知識、三つ目が顧客の業界における専門知識です。カスタマーサクセス人材には少なくとも、このうちの2つの専門知識が必要とされます。
サービサーやパートナーとして製品やサービスについての知識を持っていることは大前提ですが、顧客と会話をし、その業界や業務領域の中で何が起きているのか、トレンドや成功事例、ベストプラクティスを常にキャッチアップすることがサービス提供企業には求められているのです。

4.NTTデータにおけるカスタマーサクセスの取組み

NTTデータはSaaSソリューションを活用したビジネスにも力を入れております。これまではSaaSソリューション上でのインテグレーション事業と、カスタマーサポート事業を中心にビジネスを展開しておりましたが、サブスクリプションをより顧客にご活用いただくためのカスタマーサクセス分野についても取り組んでおります。
筆者のチームではSalesforceによるDXビジネスを展開しており、カスタマーサクセスチームを組織化しています。
このチームでは、Salesforceを利用いただいている顧客の現状分析(ヘルスチェックサービスや利用状況の定期モニタリング)、ゴール達成に向けた施策のプランニング、施策実施のご支援などをさせていただいております。また、年3回実施されるSalesforceのメジャーバージョンアップによる新機能や、Salesforce社が提供しているサービスやイベントについても、顧客のユースケースやビジネスゴールを意識して、最適なものをご案内いたしております。顧客のビジネスゴールに向かって、システムであるSalesforceと、そのシステムを利用するユーザとの間に発生するギャップを先回りして回避することが、私たちカスタマーサクセスチームとしての役目です。

図2:Salesforce導入時に発生しうるギャップと回避策

「プロフェッショナルサポート」(※1)として、カスタマーサクセスの実現支援サービスラインナップを揃えており、更に定着化支援フェーズを起点としたビジネス変革を支援するサービス(※2)もメニューに加え、より豊富なラインナップから企業ニーズに合わせた提案をいたします。
今後はNTTデータが従来から得意とするシステムインテグレーションやカスタマーサポートの領域だけではなく、お客様の“カスタマーサクセス”の実現にフォーカスしたご支援についても積極的に実施してまいります。

※1 Salesforceプロフェッショナルサポート
https://digital.nttdata.com/crm-salesforce/common/images/pickup/pickup01/pdf-01.pdf

※2 顧客接点のデジタル変革に向けたSalesforce定着化支援サービスを提供開始
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2021/033002/

出典元

プロフィール

株式会社NTTデータ
ビジネスソリューション事業本部
デジタルビジネスソリューション事業部
重松 春奈

NTTデータ入社以来、CRMソリューションの営業に従事。セールスフォース・ドットコム社への出向を経て、現在はSalesforceの営業、活用/定着化支援を実施している。

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