Digital Commerce

マーケティング高度化にむけたソーシャルメディアデータ活用

2018.8.28

ソーシャルメディアは人々の生活に定着し、企業のマーケティング活動においても欠かすことのできないメディアになってきている。本稿ではソーシャルメディアから得られるデータによる新たなビジネスフローの確立・マーケティング高度化実現に向けた取り組みを紹介する。

情報活用のトレンド変化

様々なソーシャル分析ツールの登場により、ソーシャルメディア上の消費者間のコミュニケーション、日々の発言から消費者理解が容易になってきています。しかし、一方で、インターネット上を流れる情報量が増え、企業発信のメッセージが届きにくく、また、企業発信のメッセージが信用されにくくなっているといった外部環境の変化も顕著になっています。

企業からのメッセージが届きにくい時代
これまでのやり方が通用しない

図1. 情報活用における外部環境変化

そのような環境変化もあり、ソーシャルメディア上で得られる消費者インサイトデータをもとに既存マーケティング活動の高度化につなげたいという企業の動きが増えています。 では、データ活用を率先して実施している企業は、どのようにソーシャルメディアをマーケティング高度化につなげているのでしょうか。

消費者の潜在ニーズを捉えて、競合に差をつけろ!

ある人材派遣業界の企業では、検索連動型広告やリターゲティング広告等で新規顧客の獲得を行なっていましたが、他競合も同様の施策を行なっており獲得効率が伸びないという課題を抱えていました。

そこで、競合他社よりも早く態度変容を捉え、将来顧客に対してアプローチするために、将来顧客になりそうな人はどのような潜在ニーズを抱えているかをソーシャルメディアデータから導出することを試みています。

具体的には、アルバイト探しを始めた人たちと始めなかった人たちのソーシャルメディア上の過去1年間の発言を調査し、日々の行動の違いから潜在ニーズやニーズが潜在化するタイミングをつまびらかにしています。意外性の高いニーズキーワードを発掘することにより、ニーズ顕在化促進に効果的な広告コンテンツの配信、競合他社よりも早い潜在顧客へのリーチを実現し、従来手法と比較してブランド想起やブランド利用意向を高めることに成功しています。

将来アルバイト探しをする人はどのような人か?

図2.潜在ニーズ層への広告アプローチによる効果改善

リアルとデジタルの横断PDCA

ある企業では若い世代におけるブランド認知を高めるにはどうしたら良いかという課題を抱えていました。

一般的な誤解として、若い世代はデジタル上で消費活動を完結させると思われがちですが、実際はリアルの店舗・体験をどの世代よりも欲しているという調査結果があります。(※1) そこで、リアルのイベントに若い世代のユーザーを誘致しブランド体験してもらうことで、デジタル(ソーシャルメディア)上での話題を醸成し、ファン予備軍の育成を図りました。 誘致するユーザーは、単にインフルエンサーを誘致するのではなく、自社ブランドのファン、かつ、ブランドを協創していきたいユーザーをソーシャルメディア上から発見することで、良質なファン予備軍の獲得・ファンコミュニティの構築につなげています。

また、イベントに誘致した数十人のファンの発言が周辺の数万人へ影響波及することを可視化し、過小評価されがちなリアル施策の効果計測を可能にしています。

リアルとデジタルの横断施策

図3.リアルとデジタルの横断施策

データ活用を意識したビジネスフローと情報の資産化が重要

いずれの事例にも言えることは、消費者を理解するために従来よりも深くソーシャルメディアデータを活用し、また、分析から得られたデータの資産化を意識してデータ分析から施策実施、振り返りまでのデータ活用ビジネスフローを設計しているということです。

ソーシャルメディアから消費者インサイトを導き出すためのコストは決して小さくありません。しかし、そこから得られた情報を資産化し、繰り返し情報活用可能なビジネスフローを構築することが、競合企業との差別化・競争力の源泉になり、長期的な収益向上実現に繋がると考えています。

プロフィール

株式会社NTTデータ
ITサービスペイメント事業本部 ライフデジタル事業部
eライフ統括部 ソーシャルビジネス推進担当 課長代理
高野 恭一

ソーシャルメディアデータをベースにしたマーケティング戦略立案・分析を、飲料、流通、メーカー、観光など幅広い業界に対して提供。法人企業だけでなく、国や自治体へのコンサルティング業務を多数実施し、NHKスペシャルや総務省統計局のインタビュー対応など、多くのメディアに最先端の事例を紹介している。

参考

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